浅草寺を知る
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浅草寺のご本尊

絶 対 秘 仏 の ご 本 尊

「柳御影」。慈覚大師の御作である御影版木で刷られたご本尊の姿。

 浅草寺のご本尊は、聖観世音菩薩である。世間の生きとし生けるものの音声を観じ、その苦しみを除かれ、また願いを聴いて安楽を与えてくださる仏さまである。神変自在のお働きを主として「観自在菩薩」とも称されるが、一般的には略して「観音さま」と呼ばれる。観音さまは、十一面、千手、如意輪など、いろいろなお姿に変化するが、聖観音はその基本とされる。
 観音堂(本堂)の外陣へ入ると、大きな賽物箱両側に掲げられた書聯(※)が見える。「寛政の三名筆」のひとり野口雪江の筆により、右に「佛身圓満無背相」、左に「十方來人皆対面」と書かれている。中国唐代の善導大師が著した『般舟讚』の文で、「円満な徳と誓願により、誰でも、どこから来ても分け隔てなく、その人に対面して救いの手を差し伸べてくださる」という、観音さまのおおらかな慈悲のお働きが示されている。
 ご本尊は、推古天皇36年(628)にご示現されたと伝わる。その後、大化元年(645)に勝海上人が定めた秘仏の制が掟として守られてきた。数重に及ぶ厨子に固く錠をかけ、絶対秘仏として寺の住職でさえも尊容拝見を慎んでいる。なお、ご本尊の大きさを「一寸八分」(約5センチ)と伝える書もあるが、これは江戸時代以来の俗説の一つである。

(※)書や彫刻で表した詩句を、柱や壁に左右相対して掲げる細長い板のこと

御宮殿
御宮殿。本堂内陣中央にある。御宮殿内には、ご本尊聖観世音菩薩、慈覚大師作の御前立ご本尊のほか、徳川家康、徳川家光、公遵法親王(※中御門天皇の第二皇子。のちに第203、206世天台座主となる)などの護持仏であった観音像が奉安されている。

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